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子どもの非行の原因は?非行の実態やおすすめの相談先3選を紹介

「非行に走ってしまう原因にはどのようなものがあるのだろう」

「子どもが非行に走っていて、どうすればよいか分からない」

「親としてどのように行動すればいいのか知りたい」

といった思いを抱えて困っていたり、心配したりしていませんか。

本記事では子どもが非行に走る原因やおすすめの相談先、非行解決のためのポイントを解説していきます。子どもが非行に走ってしまっていて、周りに相談できず困っているという親御さんは、本記事を参考にしてみてください。

非行とは

非行とは

非行とは、『20歳未満の者が刑罰法令に違反する行為』をいいます。法令上、非行した児童の呼び方は年齢によって異なり、少年法第三条に犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年※の3種類が規定されています。


犯罪少年は犯罪行為をした14歳以上20歳未満の者、触法少年は刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の者、ぐ半少年は、18歳未満でその性格または環境に照らし、将来罪を犯すか、刑罰法令に触れる行為をするおそれのある者をいいます。

・犯罪少年・・犯罪行為をした14歳以上20歳未満の者

・触法少年・・刑罰法令に触れる行為をした14歳未満の者

・ぐ犯少年・・18歳未満でその性格または環境に照らし、将来罪を犯すか、刑罰法令に触れる行為をするおそれのある者

参考:日本総研:厚生労働省 令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業

 

非行の実態は

少年の非行は、厚生労働省の調査※によると18年連続で減少している傾向にありますが、1000人あたりの検挙率は成人と比べると少年の方が高い水準にあります。

小学生以上、20歳未満の人員1,224万人に対して、非行少年は2万人で、小学生以上、20歳未満の人員に対する非行少年の割合は約0.2%となっています。

令和2年度は、2万件を超える事件数が確認されており、最も多い罪名は窃盗(万引き、オートバイ盗、自転車盗など)の12,514件で総数の54.4%を占めます。主な内訳は、傷害が2,033件で総数の8.8%、横領が1,834件で総数の8.0%となっています。

参考:日本総研:厚生労働省 令和4年度子ども・子育て支援推進調査研究事業

非行を起こすとどうなる?

非行を起こすとどうなる

法務省:刑事司法手続の流れ ~犯罪者・非行少年の処遇~

ここからは18歳未満の者が非行を起こした場合の、処遇手続の流れを説明します。

18歳未満の者が非行を起こした場合の流れは様々ありますが、今回は一般的な流れを「ぐ犯少年または触法少年の場合」と「犯罪少年の場合」に分けて紹介します。18歳未満の者が非行を起こした場合は、おもに以下のような手続きを経て社会復帰していきます。

①ぐ犯少年または触法少年の場合

ぐ犯少年または触法少年の場合は、犯罪が発覚し警察に通報された場合、児童相談所または家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所で場合により観護措置がとられると、少年鑑別所に送られます。鑑別所では、面接や心理検査、行動観察などが行われます。家庭裁判所の裁判官は、家庭裁判所調査官の所見や鑑別結果を検討して処分します。

審判の開始が決まった場合は非公開で行われ、審理終了後裁判官は、不処分か保護処分のどちらかを少年審判の終局処分として決定します。

保護処分は、保護観察、少年院送致、児童自立支援施設送致等※です。

保護観察は、少年が家庭や職場で生活しながら保護司や保護観察官が面接などで指導監督する制度です。少年院送致された場合は少年院で教科教育、生活指導、職業補導などによって再非行を防止する教育を受けます。

参考: 平成17年版 犯罪白書 処遇手続の概要

②犯罪少年の場合

犯罪少年の場合、犯罪が発覚し警察に通報された場合は、罰金以下の刑に該当する犯罪については家庭裁判所に送致され、それ以外のものは検察庁に送検されます。

検察官は、少年の事件について調べた結果、犯罪をした疑いがあると判断した場合、または犯罪をした疑いがない場合でも、家庭裁判所の審判をする事由があると判断したときは事件を家庭裁判所に送致する必要があります。

家庭裁判所では、事件を調査した結果による審判不開始の決定や、非公開での審判などがおこなわれます。

その結果、保護処分にする必要がないと判断した場合は、不処分の決定をし、保護処分にするのが適当と判断した場合は保護観察や少年院送致、児童自立支援施設・児童養護施設送致などを決定します。

また家庭裁判所が少年の事件は刑事処分が相当だと認めた場合は、検察官に送致され、原則として検察官は少年の事件を起訴しなければなりません。その後の流れは成人の場合と同じように、裁判所で刑罰を科すかどうか判断されます。実刑判決が出た場合は少年刑務所などに入所します。

子どもが非行を起こす原因とは

非行を起こす原因とは

子どもが非行を起こす原因は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは子どもが非行を起こす原因としてよくみられるものを5つ紹介します。子どもや子どもを取り巻く環境を観察して、以下のような原因がないか考慮してみてください。

学校の授業についていけない

学校の授業についていけないという場合、授業が理解できず学校生活が楽しくない、学校で疎外感を感じる等、学校になじめないストレスから非行に走る可能性があります。

令和3年法務総合研究所調査※の「学校をやめたくなるほど悩んだ経験」で、「勉強についていけなくて学校をやめたくなった」の該当率は少年院在院者で34.2%でした。これに対し、平成28年度東京都による調査で一般の16・17歳の少年で、同じ項目に該当したのは10.0%という結果が出ています。

参考:法務省:令和5年版犯罪白書 第7編非行少年と生育環境

家庭環境

家庭は、子どもが最も長い時間をすごす重要な場所であり、家庭環境は子どもの行動に非常に大きな影響を与えます。子どもに対して過保護であったり、無関心である場合、子どもが心身のバランスを崩し非行に走ってしまう可能性があります。

その他にも、両親の離婚や死別といった環境の変化は、子どもに非常に大きな影響を与えるため、心身のバランスを崩してしまう恐れがあります。家庭内に重大な出来事があった際は、特に注意深く接する必要があります。

子どもの様子がおかしいと気が付いた場合は、まず最近の家庭環境の変化について気にしてみるといいでしょう。

障害がある

発達障害などの障害を抱えている場合、周りとの関係がうまく築けなかったり、理解されず、疎外感などから非行に走ってしまう場合があります。そのほか非行少年に少なくないものは、うつ病や双極性障害(躁うつ病)といった気分障害、統合失調症などの精神障害です。

また読み書きが苦手な学習障害が隠れている場合、授業についていけず、結果疎外感を感じて非行に走ってしまうといった可能性もあります。病気や障害が疑われる場合は、専門医等に早めに相談しケアをしていくことが重要です。

いじめ

いじめにあっている、または過去にいじめにあっていた場合、その反動から非行に走る可能性があります。いじめられることで、精神的なストレスが非行となって現れたり、いじめのトラウマからいじめが終わった後も、その反動で気持ちが荒れてしまうといったケースもあります。

昭和60年の科学警察研究所の調査結果※で、いじめが原因で非行を誘発されたり、いじめられて仕返しをした少年は115人で、いじめられていた時の感想は次のようなものでした。

「死にたい」「相手を殺してやりたい」と思っていた者はそれぞれ約1割ずつで、「相手を殺すとまではいかないが、ひどい目に遭わせたい」と思ったり、「学校や職場を休みたい」と考えていた者がそれぞれ6割以上いました。

常日頃から児童の様子に気を配り、いつもと違う様子があれば声掛けする、学校とも連携するといった対応をこころがけてください。

参考:昭和61年度版 警察白書

ゲーム、SNS依存

ゲームやSNSに依存してしまい、非行を起こすこともあります。

実生活の中で十分な自己肯定感を築けないなどの要因によって、ゲームの中やSNSで自己を確立することに重点をおくようになり、結果として注目をあびるために犯罪を犯したり、課金するために触法行為を行うといった事例があります。

ネットでは、意思に寄らず不特定多数の人と接触する可能性があります。違法・有害情報との接触の機会も急速に増え、いじめなどの非行につながっていくケースもあります。これらに依存すると日常生活に使う時間が少なくなり、健康的な生活を送りにくくなるでしょう。また、勉強時間も減少し、心身に影響がでる可能性があります。

インターネットの適切な使い方を子どもと話し合い、親子間で決めることが大切です。例えば、利用時間、利用料金、見るサイト、コミュニケーションする相手などについて話し合ってみてください。

非行解決のためのポイント5選

非行解決のためのポイント5選

子どもが非行をしている時、なかなか周りに相談できなかったり、どう解決すればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

お子さんが非行に走って困っている方や、お子さんが非行に走るのではないかと心配されている方に向けて、お子さんの非行と向き合っていくポイントを解説していきます。

第三者機関を利用する

一度関係が崩れてしまうと、親子でも適切なコミュニケーションをとることが難しくなる場合があります。その場合は教師やスクールカウンセラー、行政機関等も活用しながら第三者を通してコミュニケーションをとることで、関係の修復等を図れる場合があります。

非行を解決するには、家族だけで抱え込まず、さまざまなところと連携することが重要です。

学校にお子さんが行っている場合は、先生にお子さんの学校での様子や勉強に関することを聞けます。親御さんもお子さんもスクールカウンセラーに相談できるのもよいところです。

お子さんが学校にいないときの相談はむずかしいかもしれませんので、行政機関の少年非行を相談できるところに相談してみるのもよいでしょう。

第三者機関と連携することで、お子さんの様子を見てもらい、一緒に問題解決の糸口を見つけられます。また非行以外にも、非行に関連することや困りごとの相談ができます。

自己肯定感を高める

子どもが非行を行っている場合、通常の学校生活に挫折し、非行によってしか自己表現できなくなっているなど、自己肯定感が下がってしまっている場合があります。

自己肯定感が低下している子どもに対しては、ちょっとしたことでもほめるなど自己肯定感を高めるように接することで、子供が立ち直る可能性があります。

自己肯定感を高めるためには、お子さんがしたことの結果のみではなく、どのように頑張ったか、以前よりどの程度努力をつみかさねたかなど、プロセスをほめてあげるようにするなど、積極的に褒めてあげるようにするといいでしょう。

金銭を与えない

子どもが怖い、犯罪に走ってほしくないという理由で、要求のままに金銭を渡してしまうという方も少なくありません。しかし、そういった行為はエスカレートするといずれ家庭に大きな負担となります。

常識を超えた金銭を与えない、また使途を尋ねるなど、親がコントロールをすることが大切です。

子どもの楽しみや趣味で買うものに対して、金銭(お小遣い)をどのくらい親が渡すか、親子で話し合って決めるなど、話し合いというプロセスをもうけ、一方的に親が決めるのではないため子どもも納得しやすいでしょう。

感情的に怒らない

子どもを叱る時は、感情的に怒鳴ったり、また手をあげるということは逆効果です。

子どもをコントロールしようとしてもますます反発してしまいます。また、子育てで感じるストレスなどが子どもへの信頼感や愛を忘れさせ、感情的に怒鳴ったり、手をあげることにすりかわっているかもしれません。

子どもに対して叱る時は、しっかりと理由を伝えて怒るようにし、大人として扱いましょう。そうすることで、子どもも自分自身の行いを理解するようになります。

まずは、子どもの立場に立って叱る内容を考えてみましょう。「子どもは私に言われたことに対してどのように感じるだろうか」「子どもは言われた内容を受け止められるだろうか、どう受け取るだろうか」など叱る内容を子どもの立場に立って考えてみて、うまく意図が伝わりそうであれば伝えてみてください。

子どもや自分を責めすぎない

非行を起こしてしまったことに対して、子どもや自身を責めてしまうという親御さんも少なくないです。

自分や子どもを責めすぎると、かえって原因や状況を冷静に見つめることができなくなってしまい、より良い問題解決への道が遠のいてしまう可能性もあります。

お子さんが非行に至るには、お子さん自身がコントロールできないさまざまな要因が影響しています。親御さんは冷静に対処すべき事柄を見つけ、それにひとつずつ対応することでお子さんの周囲の環境を整えていくことが大切です。

また、十分な関心をもって子どもを見守りながら、お子さんの良いところを褒めるなど、

丁寧に辛抱強く接することが大切です。

子どもが日頃苦労していること、悩んでいることなどの話を聞いてあげるなど、子どもにとって受け入れやすいコミュニケーションをとっていくといいでしょう。

子どもの非行を解決したいときの相談先

こどもの非行を解決したいときの相談先

ここからはお子さんの非行を防ぐための相談先をご紹介します。お子さんの非行について、家庭内だけで抱え込むと、問題が複雑化し解決しにくくなることがあります。

そうした場合、家庭外の専門家や相談できる機関にも助言を求めることをおすすめします。第三者との対話は、おそらく親御さん自身の感情の整理にも役立ちますし、問題解決に向けた適切なアドバイスなども提供してくれるでしょう。

警察

警察では、本人や親御さんなどからの非行に関する電話、メール相談等を「少年サポートセンター」で受け付けています。

全国の都道府県警察には『ヤング・テレホン・コーナー』等があり、ご家族などや本人からの相談を、経験豊かな少年補導職員や専門知識のある職員が受けてくれ、適切なアドバイスをしてくれます。また『ヤングメール』などメールで相談できる都道府県もありますので、ちょっとしたことでも非行の兆しでも構いませんので、できるだけ早く気軽に相談してみてください。面接相談をしているところもありますので、インターネットなどでお住まいの場所の少年サポートセンターを探して、相談しやすい方法で連絡してみてください。非行とまでいかなくても、非行が懸念される場合は、相談を検討してみてください。

全国少年警察ボランティア協会 「少年相談」の公式ページはこちら

児童相談所

児童相談所は、「児童福祉法」に基づいておかれている、都道府県の機関です。各都道府県に1か所以上設置されています。各自治体児童相談所では、子育てに関する様々な相談や関係機関(学校、市町村、主治医等)の紹介を行っています。家庭や子どもごとに適切な援助をしてくれ、場合によって必要があればお子さんを保護してくれます。

お子さんの非行についての相談や心身障害・発達障害についての相談、生育環境についての相談など、様々な子育ての悩みを相談できます。問題の特定、心理支援、児童の家族や関係者への支援を行い、必要であれば外部関係機関と連携して継続的な支援を提供します。

児童相談所一覧はこちら

蔵王いこいの里

蔵王いこいの里は不登校やひきこもり、家庭内暴力等で困っている家庭に向けた全寮制の施設です。35年以上の支援実績があり、これまでに850名以上の卒業生を送り出しています。

自然に囲まれた環境で、子どもたちが安心して学び、困難を抱える仲間とともに生活し、遊ぶ時間が回復への道へと向かわせてくれます。

蔵王の大自然のなかでの、生活や活動は、モラルやルール、生活力、気力、体力、協調性や自立心などです。就労サポートやカウンセリング、協力機関との連携などそれぞれのお子さんに合ったサポートも受けられます。また、就労・通学体験、自立トレーニング、実践経験などがあり、このプログラムを通して身につくのは「本当の意味での生きる力」です。

蔵王いこいの里は、農作業や生活訓練など様々なプログラムを通して、社会の中で自分自身の力で自分の生きたい人生を歩んでいく力をつけ、お子さんや親御さんがめざす自立への道を支援しています。

蔵王いこいの里の公式サイトはこちら

まとめ

子どもが非行に走る背景には、さまざまな問題が隠れています。できるところから一つずつ対応したり、まずは取りかかりやすいことから解決に動いていきましょう。

また、本記事を参考に、家庭内やひとりで抱え込まず、専門的に子どもの非行や問題に取り組んでいる相談先にも相談してみてください。

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