著者情報:蔵王いこいの里編集部
引きこもりやニートといった方々を対象に、共同生活型の支援を行っている蔵王いこいの里スタッフが執筆しています。蔵王いこいの里は30年を超える支援経験があり、これまで850名を超える方を自立に導き、送りだして来ました。家庭ではどうすることも出来ない。そんな親御さんや当事者さんからの多くのご依頼を受けてきた、いわば引きこもり支援のスペシャリストです。
家庭内暴力はその深刻さを年々増していっています。核家族化が進み、地域の繋がりが薄れた今、家庭内の問題を外部に相談できないというご家庭も増えており、ご家族だけで問題を抱えてしまった結果、大事件になってしまうというケースも少なくありません。
お子様の家庭内暴力でお困りのご家庭は、どこに相談していいかわからない。暴力が起こったのは自分のせいだと自分を責める。また家庭の問題は家庭で解決したい。恥ずかしくて外に相談できない。といった心理になってしまうことがよくあります。本記事では、そういった方々に向けて、取れる対策やその背景等についてまとめていきます。
家庭内暴力とは?
家庭内暴力には様々な種類があります。子どもから親、親から子供、兄弟など、配偶者間(DV)など家族間間で起こるもので、直接的な暴行だけでなく、物への暴力や暴言、金銭的な搾取も含まれます。
未成年者による家庭内暴力が9年間で3倍近く増えていることが警察庁の集計で分かった。2018(平成30)年は3365件あり、45・9%は中学生によるものだった。小学生による家庭内暴力は13・0%を占め9年間で6・0倍へと増えた。
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家庭内暴力は年々件数が増加している傾向があります。特に近年では小学生の家庭内暴力の増加が顕著となっています。
家庭内暴力の原因
家庭内暴力が起こる背景には、様々な原因があるといわれています。
家庭環境
家庭内暴力については家庭環境が大きく影響しているケースが多いです。親の過干渉、無関心、機能不全家族など、家庭での関係が上手くいかないストレスが暴力となって現れるケースです。当事者は、引きこもり状態だったり、素行不良など、社会から逸脱している場合も珍しくありません。
人間関係などのストレス
人間関係など、当事者に対する対外的なストレスが家庭内暴力となって現れる場合も多くあります。いじめを受けていたり、学校、仕事がうまくいかないといったストレスが家庭に向かうものです。
精神障害
当事者が発達障害などの精神的な疾患を抱えており、そのストレスが二次的に家庭内暴力になってしまうというケースもあります。また、精神疾患に本人も気が付いておらず社会生活が上手くいっていないということも少なくありません。
家庭内暴力への対応
では、実際に家庭内暴力が起こってしまった場合、どのように対応していけばいいのでしょうか。
距離をおく
お子様からの家庭内暴力にあった場合は、距離をおくことも有効な手段です。家庭内暴力が起こった場合、親御さんは自分を責めてしまう場合も少なくありません。そのため、例えば金銭の要求があれば、恐怖だったり罪悪感から応じてしまったり、外部に相談できないというケースもあります。相手の要求や暴力を受け入れるほど、行為はエスカレートしてしまいます。そのため、家庭内でも接触をさける、民間シェルターを利用するなど、物理的に離れることが出来るなら距離をおくことも有効な手段です。
施設に相談する
家庭内暴力が起こっている場合は、当事者同士での解決は難しいケースがほとんどです。そのため、施設に相談するということも有効な手段です。全寮制のフリースクールや家庭内暴力を専門に扱っている施設もあります。そういった施設にお子様を預けることで、家庭内暴力が改善されたというケースは少なくありません。またお子様自体も自分ではなんとかしたいと考えているケースが多く、施設を提案すると、すんなりお子様が受け付けるという場合もあります。
行政機関に相談する
家庭内暴力については、行政にも様々な相談窓口があります。行政機関に相談することで、様々な支援の紹介を受けることができます。家庭の問題は外に持ち出したくないという方も多いかもしれませんが、当事者同士では解決が難しいケースがほとんどです。行政機関は家庭内暴力に対する対策のノウハウがあり、専門家とも連携してくれます。
おすすめの家庭内暴力への相談先
では、現在家庭内暴力が実際に起こっており困っている場合は、どこに相談すればいいのでしょうか。
福祉課
お子様からの家庭内暴力については専門的な相談窓口が地域によって分かれていたりします。そのため、まずは区役所などの福祉課に相談し、そこから様々な専門家を繋いでもらうようにしてもらうといいでしょう。また、各地域に接しされている施設としては精神保健センター、児童相談所といった相談窓口もあります。
NPOなど専門施設
家庭内の問題は、行政だけでは解決できない場合もあります。当事者、また親御さんへのカウンセリングだったり、セラピーなど、個別の対応については、家庭内暴力専門のNPOや外部の専門家の方が適している場合もあります。
全寮制フリースクール
家庭内暴力でお困りの場合におすすめしたいのが、全寮制フリースクールへの相談です。全寮制の施設は、家庭内暴力など特に家庭環境に問題がある方などを対象に作られた背景があり、多くの施設が家庭内暴力を抱えた家庭への対応にも豊富なノウハウがあります。まずは相談だけでもOKという施設もあるので、ぜひ検討してみて下さい。